令和3年度卒業証書授与式 式辞
(前略)
四十九名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。先ほど一人一人に渡しました卒業証書は、中学校の課程を修了したと同時に、九年間の義務教育すべてを終えたあかしでもあります。
小学校五年六年、そして中学二年三年と皆さんの心の成長ぶりをそばで見ることができたのは私にとって幸せであり、感無量の喜びです。
一年を少し振り返ってみましょう。四月下旬、
緊急事態宣言が発令され、体育会の中止や修学旅行の延期などが余儀なくされました。しかし、最後の締めくくりとなる部活動では、部活参観、部活壮行会は無事実施され各部の最後の大会を行うことができました。体育部では市総体、淡路総体は観客制限などの措置は取られましたが無事開催され、力を発揮することができました。
また、文芸部の皆さんは人を思う気持ちを作品に十二分に込め制作に励みました。吹奏楽部の皆さんはコンクールに向けて全力で取り組み、関西大会金賞を受賞しました。努力を心から称えたいと思います。卒業生のみなさんは、感謝の気持ちと多くの支えを胸に広田中生らしく部活動を終えることができました。皆さんの想いは一・二年生に引き継がれました。
二学期では、オープンスクールでの保護者の皆様、大学院で学ぶ先生方、道徳の授業公開での淡路島内の中学校・小学校の先生方、出前授業等で来校していただいた地域の方々など多くの来校者がありました。その来校者の多くの方々の感想が3つあります。一つは、「あいさつをみんなしっかりしてくれました」二つ目は「自分達の校舎を美しくしようとする姿勢に感心しました。」三つめは「授業に落ち着いて取り組めています。」とても嬉しく思いました。これらは人としての「基本のき」です。人としての基本が学校の風土を作り伝統となっていくと思います。また、生徒会主催の広田リンピックボッチャ大会は勇気と元気を与えてくれました。広田中に新たな一ページを刻んでくれたと思います。広田中の誇れる卒業生です。
「どん底に大地あり」という言葉を知っていますか。
皆さんといった長崎修学旅行。被爆直後の長崎で、自らも被爆したにもかかわらず、被爆者の救護に尽力した医師である永井隆(ながいたかし)博士の言葉です。苦しいときにも自分の足で立つことのできる地面がちゃんとあるという意味です。実際、被爆直後の長崎の人々は新芽を出した神社の被爆クスノキの大木に希望を見出し、爆風に耐えた一本柱の鳥居に勇気をもらい、復興に尽力しました。
皆さんも、中学校を卒業すると、これまでとは比べものにならないほど多くのハードルを乗り越えなくてはなりません。何かの壁にあたってしまったとき、「大地に足を踏ん張り、踏み出す希望を持ちましょう。この大地は、まさに三年間の家族・仲間の支えや自らの努力の積み重なった強い大地です。」
広田中学校卒業生として、中学三年間の学びで身につけた「地域・社会貢献できる力、仲間と心と力を合わせる大切さ、自分の良さに気づき、努力・挑戦する力」校訓の自主・協同・勤勉です。これらは、「夢を叶える力」です。希望を持つ強い大地です。一歩踏み出し、自分たちの夢の実現に向けて、生徒会スローガンのように「勇往邁進」し、活躍することを期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。中学校生活という大きな壁、不安、それらを乗り越え、今お子様方はこんなに立派に成長されました。心よりお祝い申しあげますとともに、三年間、学校に対したくさんのご支援をいただきましたこと、深く感謝申しあげます。私ども教職員一同、今後もお子様の成長とご活躍を願っております。
それでは、卒業生の皆さん、皆さんの限りない前途に幸多かれと祈り、私の式辞といたします。
令和四年三月八日
南あわじ市・洲本市組合立広田中学校長
廣地 由幸