2023/7/31 15:52
学校だより
主体的に学ぶ姿勢を培うために

 明日から8月、夏休みは早くも4分の1を過ぎました。保護者の皆様には、休業開始早々に個人懇談で情報交換をさせていただき、学校にとっても2学期からの指導支援に有効な資料となりましたこと、厚くお礼申し上げます。

 大野小学校は子どもたちの「やりたい」という欲求をエネルギーにして学びを深め、高めたいと考えています。その手立ての一つとして、昨年度途中から一律の宿題をできるだけ減らし、個々の興味関心や意欲に応じた自主学習をすすめてきました。夏休み・冬休みのドリルをやめているのもその考えからです。休業日はたくさんの時間を「まだまだ足りない」と思えるくらいに、やりたいことをやり、自主学習まとめる活動を存分にしてほしい、というのが狙いです。

 「それでは学力が低下する」という心配の声が聞こえますが、全員に同じドリルやプリント等の処理を強いても、実は期待するほどの力はつきません。やらせて安心するのは大人、というのは周知の事実です。しかし、普段の生活や遊びに頭を使えば、体験で裏付けられた生きた学力になります。「百聞百見は一験にしかず」(松下幸之助)という言葉の通りです。

 入学直後は「早く勉強したい」と担任を急かしていた子どもたちが宿題を嫌がるようになる主な要因は、全員一律の課題と作業の強制です。本人に選択の余地がなく一方的に指示される作業に苦痛を覚え、学びの意義や目的を感じられなくなる。これでは「自ら考え、判断して、実践する力」は育ちません。それよりも、やりたいことを自分で選んで体験する方が、当事者意識を持って知識技能を習得でき、「考える力」も培えます。

 これは「好きなことだけさせて、机上の学習はさせなくてもいい」ということではありません。興味関心のある事柄を体験すれば、「課題を解決したい」という意欲が必ず生まれます。その解決、答えを自分で探求していく行為こそが「学習」ですから、例えばドリルでの錬成が必要だと本人が思えば、個々の力と目的に適うドリルを自分で選ばせ、させてやってください。やりたいことを十分にさせるなら、途中経過や結果・成果の記録(ふりかえり)をするよう導いてやってください。その子の力と習慣、そして意欲に応じた学習の仕方が必要だということです。

 昭和、平成の時代は、大人が示した目的のために、指示された作業を決められた通りにきちんと進み、予め決められた答えに辿りつくことが「勉強」で、それができる子どもを育てることが一般的な考えでした。しかし「言われてする勉強」は課題を処理すること自体が目的(やっつけ仕事)になります。クイズの答えを当てるような知識や技能はついても、子どもが自分で価値を見出したり、創造的に答えを作ったりするなどの「使える学力」は身につきません。

 答えを当てるには多くのインプット(習得)が要るのですが、これからの学びにはアウトプット(表現、実践)の方が重要です。誰でも自分の力に応じて、「少ない知識技能(インプット)をたくさん使う(アウトプットする)」という方が「学びたい」という欲求を生み、自分の見方や考え方を生かした、成果の大きい学びになってくるからです。

 こんなことから、大野小学校は、まずは子どもたちに「学ぶ楽しさ」「探求のおもしろさ」を感じてほしいと願い、家庭学習を進めたり授業改善に取り組んだりしています。しかし、まだ旧態依然としたところを捨て切れずに子どもたちを混乱させ、保護者の皆様にもご心配をかけていることもあり、本当に申し訳なく感じています。

 全ての子どもたちが「大野小学校での学びが楽しい」と感じる学習活動の展開をめざし、2学期はその成果が表れるように全教員が指導改善に取り組みます。引き続き、温かいご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。(文責:校長)