2024/7/18 16:00
学校だより
体験と学び、実践で「考える力」を培う夏休みに

 いよいよ夏休みが始まります。保護者や地域、関係者の皆様のおかげで1学期の学校教育を進められたことに、まずは心より感謝申し上げます。
 今年度の洲本第一小学校は、子どもたちの「やりたい」という欲求をエネルギーにし、それぞれの学びを深め、高める教育を進めたいと考えています。その手立ての一つとして、今年度の夏休みは「ドリル」の処理などを一律に課すことをやめ、個々の興味関心や意欲に応じた自主学習をすすめることにしました。夏休みのたくさんの時間を「まだまだ足りない」と思えるくらいに、やりたいことをやり、自主学習でまとめる活動を存分にしてほしい、というのが狙いです。
 子どもたちには、夏休みの自由課題のリストを配布していますので、自分で課題が見つけられない子はその中から自由に選んで取り組むように話しています。このリストはあくまで一例なので、この中のどれかを必ず、ということではありません。子どもたちが自分から「これをやりたい」というものに取り組んでほしい、ということです。

 「それでは学力が低下する」という心配の声が聞こえますが、全員に同じドリルやプリント等の処理を強いても、安心するのは大人で、実は期待するほどの力はつきません。しかし、普段の生活や遊びに頭を使えば、体験で裏付けられた生きた学力になります。「百聞百見は一験にしかず」(松下幸之助)という言葉の通りです。

 本当は学びにどん欲な子どもたちが、なぜ学習を嫌がるようになってくるのでしょうか。主な要因は、全員一律の課題と作業の強制です。本人に選択の余地がなく一方的に指示される作業に痛みを覚えはじめ、学びの意義や目的を感じられなくなってくるからです。これでは作業や処理に要した時間と労力が「自ら考え、判断して、実践する力」には結び付きません。「忍耐力がつく」「いやなことも続ける力になる」と言う人もいますが、学習の目的はそれではありませんから、やりたいことを自分で選んで体験する方が、当事者意識を持って「考える力」を培うことができます。

 これは「好きなことだけさせて、机上の学習はさせなくてもいい」ということではありません。興味関心のある事柄を体験すれば、「自分の課題を解決したい」という意欲が必ず生まれます。その解決、答えを自分で探求していく行為そのものが「学習」です。「ドリル」がダメというのではなく、「自分で課題を決め、選んでする」ことが重要だということです。本人がしたいと言えば、個々の力と目的に適うドリルを選ばせ、させてやってください。自由な活動は、途中経過や結果・成果の記録、ふりかえりをするよう導いてやってください。その子の力と習慣、そして意欲に応じた学習の仕方で力をつけていく方が、子どもたちにとって学習を楽しめ、意欲的になり、しかも効率的だということです。

 昭和、平成の時代は、大人が示す目的のために、指示された作業を決められた通りに進み、予め決められた答えに辿りつくことが「勉強」で、それができる子どもを育てることが一般的な考えでした。しかし、もともと個々の力には違いがありますし、「言われてする勉強」は処理すること自体が目的(やっつけ仕事)になります。クイズの答えを当てるような知識や技能はついても、自分で価値を見出したり、想像力を働かせて答えを創造するなどの、「社会や生活で使える」学力、すなわち「生きる力」は身につきにくいものです。

 学びにはアウトプット(表現、実践)が重要です。「少ない知識技能(インプット)をたくさん使う(アウトプットする)」という方が「学びたい」という欲求を生み、自分の見方や考え方を生かした、成果の大きい学びになるからです。子どもたちには、たくさんのアウトプットをして、さらに意欲を膨らませる夏休みにしてほしい、と願っています。

 洲本第一小学校は、まずは子どもたちに「学ぶ楽しさ」「探求のおもしろさ」を感じてほしいと願い、授業改善に取り組みはじめました。しかし、まだ旧態依然としたところを捨て切れずに子どもたちを混乱させ、保護者の皆様にもご心配をかけていることもあり、申し訳なく感じています。
 2学期は全ての子どもたちが「洲本第一小学校での学びが楽しい」と感じる学習活動の展開をめざし、主体的に学ぶ姿が子どもたちに表れるように、引き続き指導改善に取り組みますので、温かいご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。(文責:校長)