今回は学習小学校の子どもたちに感動させられたお話を2つ紹介させていただきます。
子どもの信念を見た
少し前の話になりますが、令和5年度最初の登校日。すなわち始業式の朝のことです。私はいつものところに立って子どもたちの登校を見ていました。春休みを終え、久々に、しかも学年が一つ上がって学校に来る子たちは、張り切っているだろうなと楽しみにしていました。
私の立つ位置とは道路の反対側を通って来る2、3年生の児童らが、それはそれは元気な声で「おはようございます!」とあいさつをしてきました。
ところが、持っていた傘が風にあおられ体制が崩されてしまいました。そうです、始業式当日は春の嵐と言われるような雨風の強い日だったのです。
その子たちは、風に飛ばされないようしっかり傘を持って歩いていたのでしょう。私の姿に気づいて「あいさつしよう」と気持ちが湧いたために、傘を持つ手の力が一瞬ゆるんだのです。
その場では、傘をしっかり持っていることを優先しても何ら問題ありません。しかし、子どもたちは他人のことを思い、「あいさつ」という行動を選んだのです。私は心を動かされました。
その時はまだ体制が崩れており、傘がさらに風を受けて大変厳しい状況だったのです。子どもたちは倒れてしまわないように必死に耐えて踏ん張っていました。その姿を見た時は、本当に涙が出そうになりました。
始業式では、以上の出来事を紹介させていただきました。そのうえで、
「あいさつをする」など自分にとっても他人にとっても良いことを、自主的に行う力。
「雨風に負けない」などその時に困難に出会ったとしても、耐えしのぐ力強さ。
そんな能力を皆がつけてほしい・・・と。
人は自分の思い(信念)を成し遂げようとした時、その過程においてはいくつもの困難が待ち受けています。
例えば中学生が受験するにあたって、頑張らなければ合格できない高校を選択したとします。ゲームや友達の誘いなど、楽しいイベントを我慢して、勉強時間を確保していく長期戦に耐えなくてはなりません。
それでも自分で決めたことを実行する中で、困難に耐えしのぐ力強さが身についていたほうが成功体験に繋がります。
時には周りの目を気にして、自分から信念の旗印をおろしてしまいそうな場面があるかもしれません。けれども、本当に幸せな気持ちになれるのは自分の心にうそをつかず、信念を貫き通すことであると私は思います。子どもの姿からそんなことを考えました。
(続きます)