(続きです)
子どもが教科書をバージョンアップさせた
「校長先生、自分の考えが教科書に載ったよ!!」
ある昼休みのことです。グラウンドにいた私のところへ、児童と担任が笑顔で報告に来てくれました。
いきさつは次のとおりです。その子のクラスである事象への考察について「正しい」か「正しくない」か、を問う授業をしていました。教科書(教師用指導書)では「正しい」とされています。私も後で見ましたが、その通りだなと思う内容です。
しかし、数人の児童が「正しくない」と主張し、その理由をクラスのみんなに説明したそうです。
担任も、子どもの意見を否定せず立ち止まって考えました。教師用指導書には「正しい」と書かれているのですが、子どもの説明に納得したので、その問題を一旦保留にしたそうです。
そして、担任が教科書会社に直接問合せをしたのです。(私の許可をとって)
教科書会社さんが丁寧に対応してくださり、数日後担任へメールを届けてくれました。
要約すると「ご指摘いただいた問題は、自身の判断とその根拠をきちんと説明できることが大切であるとの趣旨で設定いたしました。その意味で教師用指導書の判断例が『正しい』とした場合のみであり、不十分でした。Webページの教師用指導書に『正しくない』とした場合の判断例を追加記述しております。」とのことです。
担任の一連の行動や、教科書会社さんの温かい回答が嬉しかったです。最も感動したのは、児童たちの姿勢です。誰もがスルーしてしまいがちな正解を「本当にそうなのか?」と疑問を持ち、根拠を考え、しっかり説明できたからです。
生活していく中では、「皆がそうしているから」とか「昔からこうだから」と言って、同調するべきこともいろいろあるでしょう。しかし、それだけでは考える力を失いかねません。AI(人工知能)がいくらでも答えを出してくれる時代にさえなっています。
子どもたちも含め私たちは、「皆がそうしているから」にとらわれず、自ら納得できる適切な解を求める姿勢を大切にしていくべきではないでしょうか。
そして、自らの考えを説明する力及び相手の考えを受け入れる力を高め合わなければなりません。そうすることによって新しい時代に沿った価値を生み出していくのです。
学校教育がその一助になっていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。