◆新学期第一週。朝のスピーチの時間に、夏休みの思い出を語っている風景がありました。初めての場所に行ったり、新しいものに出会ったり、中には好きなことに熱中していたというお話もあります。それぞれの思い出を表現するとき、子どもたちは自分の体験に対する「価値づけ」を行っています。その体験が自分にとって意味のあることだったということを、子どもなりに自分の中に落とし込んでいるのです。
◆「遊び」が子どもの育ちや学びにとって大切だということは、保育・教育の世界において昔から言われていることですが、先日私(校長)は講演会で、人工知能研究者の方から次のようなお話をうかがいました。「遊びから入った脳の中には、自分と対象をつなぐ情報がたくさんある。合理的な指導で手っ取り早く学んだ人にはそれがない。対象とたわむれることを大切にしてほしい」…なるほど、自分自身のスポーツや学びの体験を振り返ってみると、「遊び」「たわむれ」の欠けていたものは結局自分のものにはならなかったと気づかされます。
◆「遊びの中でその対象と十分にたわむれる」…このことを保障するためには十分な時間と心のゆとりが必要ですが、限られた時間の中で日々行う学習指導や体験活動がけっして「合理的で手っ取り早いもの」で終わらないように工夫を重ねていきます。