鋭い感性
だいぶ前ですが、梅雨の時期に子どもたちと次の様なやりとりをしました。
私「雨が上がった後、運動場に水たまりができているけど、しばらくしたらなくなっているよね。水はどこへ行ったと思う?」
児童A「土の中にしみこんでいった」
児童B「かわいた(蒸発した)」
児童C「カエルがみんなで飲んだ」
正解は児童A,Bですが、4年生理科で習う内容だったと思います。児童A、B、Cは履修前でしたので、それぞれの生活体験から答えてくれました。
児童Cの答は自然の現象としてまずないことですが、感性という点では非常に鋭いなあと思いました。
そんな考えを初めて聞いたときは驚きますが、誰も考えつかないような発想が、感性の鋭さ(豊かさ)なのかなと思います。
これからの時代は、「感性」の鋭い人が活躍することが多くなるのではないでしょうか。
「感性」の鋭い人は物事の感じ方が他人より抜きんでています。なので、新しいことを生み出す力になったり、人々を感動させる力になったりすると思うからです。
画家 ピカソ
「感性」の例を、画家のピカソについて、教えてもらったことを書きます。
ピカソの絵は写実的(リアル)とは言えません。しかし美術的な価値以上に世界的な文化価値として語り継がれています。なぜならその当時までの絵画と言えば、よりリアルに表現されたものが正解でした。そんな絵画に対する考えを、ピカソの絵が大きく変えたからです。
彼が生きた20世紀はじめは、「カメラ」が普及し始め、「写真」がそれまでの写実的な絵画にとって代わるようになっていたのです。
写実的な絵画も素晴らしいのですが、実際の人物や風景を平面に写し出すことでいえば、時間も、労力も写真に遠く及ばなくなってしまったのです。そこから、美術(アート)に対する考えが一変しました。
ピカソは、彼の感性によって「泣く女」「ゲルニカ」などの作品を生み出しました。
それまでの絵やカメラでは、描いたり写したりするための視点が一カ所でした。それに対し、ピカソは正面や横からなど、様々な視点から見えたものを一つの平面に表す、といった方法などで絵を描いています。
それまで正解だったことに抗(あらが)い、独特の「感性」をもって人々の心を動かし、アートの新分野を切り拓いたということです。
(続きます)